シュヴァンクマイエルのお話

授業でストップモーションアニメーションを作ることになってしまった!
絵コンテを来週までに考えないといけないんだけど、まるで案が全く浮かばんぞ!
そんな授業で先生が参考作品として見せてくれたのが、チェコ出身ストップアニメーションの巨匠「ヤン・シュヴァンクマイエル」の「FOOD」である。
メニュー画面で「なんか見たことあるじゃん☆」と思ったら、
シュヴァンクマイエルだった。
「参考作品だからソフトな内容だよね☆」と思ったら、
いつも通りのシュヴァンクマイエルだった。
つい先週に私はこちらの短編集を鑑賞していました。↓

こういう作品も置いてあるのはやはり大学だなあ、と思います。切実に。
DVDパッケージから既に狂い始めているのはいつも通りです。
シュヴァンクマイエルのことは以前「アリス」でレビューしたのですが、その頃は比較的監督の作風をあまり意識して無く、淡々と鑑賞していました。
こちらの短編集を見ると成程、この監督は凄い。
「アリス」を見た時も薄々この監督さんはアレなんじゃないのかと思っていましたが、
最近ある長編映画を見ました。
Twiiterや掲示板では自称する人は沢山いますが
シュヴァンクマイエルさんは変態だと思います。良い意味で。
以前「鉄男」の映画のレビューの時に、鉄男の映画を越すものはある意味無いんじゃないかと言ったのですが、最近はシュヴァンクマイエルは越しているのではないかと思えてきました。
クレイアニメーションも著しく使用されており、そのクレイアニメを使用して人間があり得ない表情をしたり、顔面めり込んだり、大口開けたり。
ストップモーションアニメに置いては、非常に滑らかな動きで本当に生物にように見えてしまう。
人間の耳からフォークが出てきたり、卵が人の形になったり、ジャガイモが逃げ回ったり。
食材の生肉と生肉同士の恋が描かれたり。
これを見てシュヴァンクマイエルさんはやはり変態…なんじゃないかと思ってしまいました。
でもそれがあたかも生きているように動き回るのだから、やはりこの監督の表現力は感服させられます。
(因みにこの短編集の中には、その生肉の恋は収録されていません。)
どうやらシュヴァンクマイエルさんは「食べることが嫌い」なのだそうで、
在りとあらゆる食事のシーンが、ともかくマズそうです。
食べている口をアップにして画面一杯に移すのは丈の口、ペチャペチャとよく音が出ます。
生理的に嫌悪感がジワジワと漂わせてきます。参考作品として見た「FOOD」も勿論。
そういった嫌悪感やジワジワと迫ってくる手法が非常に巧みで、直接的な流血描写は無くともグロテスクな作品が多いです。
あからさまなグロよりも奈何せんグロテスクで、下手なホラーよりも断然怖い。
例えば「アリス」だとアリスは非常に可愛らしいのです。
アリスはかわいい。

しかし皆大好きうさぴょんことうさぎさんは、シュヴァンクマイエルさんに掛かればこの通り!
ご覧の有り様である。

なんかこう…何なんでしょう。
この受け付けたくないこの苦々しい鬱憤とした気持ちは何なんでしょう。
気味の悪さは天下一品、短編集に収録されている「地下室の怪」はジワジワと恐怖を呷ってきます。
シュヴァンクマイエルさんに長編ホラー映画を製作させてみたら相当な作品が出来そうな気がするのは私だけでしょうか。
悪趣味な世界ですが私は嫌いじゃないです。寧ろ好きな監督さんかもしれません。
多分「FOOD」を見たクラスメートでは嫌い人もいると思いますが、悪趣味にしろ気味が悪いにしろ、作品そのものは意外性があって面白いです。オチも大体あるので、まるで意味がわからんぞ!という事は無いです。
いやまあ、作品全体、はまるで意味がわからんぞ!とも言えなくもないのですが。
某笑顔動画やようつべさんでも検索すれば幾つか作品が出てきます。
もしご覧になるのならば、ナベは最初は「アリス」をお勧めします。
しかし学校の授業で、ヤン・シュヴァンクマイエルの作品を見ることになるとは思わなかったなあ…。
見せてくれた先生のチョイスには恐れ入ります。