イレイザーヘッド感想

今日は久しぶりに映画の感想です。
デビット・リンチ監督作品の「イレイザーヘッド」を見ました。
まず大体のあらすじ
フィラデルフィアの工業地帯で働く印刷屋の職工ヘンリー(ジャック・ナンス)は、ガールフレンドのメアリー(シャーロット・スチュワート)から子どもを妊娠したことを告げられる。しかし、生まれてきた赤子は恐ろしい姿で、異様な泣き声で彼らを苦しめる。やがて、生活に耐えられなくなったメアリーは家を飛び出してしまう。
(Yahoo!japan映画より)
カルトムービーとして名高いデビット・リンチ監督の長編デビュー作品。
少人数のスタッフと共に製作し、個人資金と5年もの歳月を掛けて完成させた映画です。

さて感想はというと…不可解・悪夢・不気味。
前々から個性的な男優のパッケージに惹かれてど〜っすかな〜の長年悩んだ挙げ句漸く見れたものです…しかしまあ、なんとも不気味な映像の数々。
出て来る登場人物がどいつも此奴も何かおかしい!!!
重苦しいモノクロフィルム、耳障りなノイズ音、何から何まで人を不安定にさせる要素満載!!これは確かにカルト映画の金字塔と言われるだけあるぜぇ〜ッ!(内心はかなり精神的にキてます)この映画見る前に、「思い出のマーニー」見て心から癒されたのでそのギャップが凄まじいものです。
「胎児」のメタファーがマジでグロテスクに描かれているので妊婦さんには絶対にオススメしません。はなっから全開に見せつけて来るので、人によっては生理的に嫌悪感が増すかも…。カラーだったらもう絶対見てられない。結構映画って、見る時期によって解釈や受け取り方が変わりますけど、そこそこ客観的に見れる今見ておいて良かったと思います(高校生の頃見ていたら変な影響を受けていそうだ笑)

そして極めつけとなるのが赤ん坊ですね。この映画の主体とも言えます。
上記の画像でも映っておりますが、ねえ、その、どう見ても人間に見えない、鳥の赤ん坊のような…。毎度ドアップで映してくれます。いや〜リンチ監督やってくれますわ、勘弁してほしいわん。何やら撮影には牛の胎児を使用したとの噂があるそうですが、監督の口から未だに真実を告げられていないそうです。気になりますわ…。
リンチ監督の実体験が元となっているそうですし、主人公が突如「父親」になることに大しての拒絶反応が全て赤ん坊のビジュアルに投影されて、敢えて奇形な姿にされているのかもしれません。
因みにこの赤ん坊、姿こそはアレなんですけど夜泣きもシクシク静かに「ビぇ〜…」っと泣いたり、主人公が場を離れると泣いて、側にいると泣き止み、場を離れると泣いて、側にいると泣き止みの天丼ネタもやってくれたり(もしかして監督が笑いに誘っている?)、その度に瞑らな瞳で涙目に見つめて来たり…
あれ…?もしかして可愛…い?
と思わせてくれることもあったので、「赤ん坊」を全面的に悪夢の対象としているわけではないんだなーと感じました。
お話としては全く持ってわけがわからないと言う事もなく、育児に対する困憊感や疲労感、親になる事に対しての拒絶感といったタイムリーなテーマでもあります。幼児虐待や育児ノイローゼといった話は昔から今でも絶えずに残念ながらあるもので…この映画がカルト的に人気を持ったのも、現代に充分通用する普遍性があるからこそなのかもしれません。
意外と映像的に「意味がないものもある」シーンもあるそうです。
もしかしたら「ハァ…育児やれってったって嫁出て行くし、俺一人どうしろってんだよ…」てな感じのリンチ監督自身の鬱憤を断片的に繋ぎ合わせた映像なのかもなーと思いました。私はこの線で推したいと思います笑
このようなモノクロで不気味、奇妙でグロテスクな作風となると「鉄男」、「アンダルシアの犬」を彷彿とさせました。


この2つの作品も第一印象が「よくわからん」映画でありまして、物語もあるんだかないんだか、不可解な内容です。但し、実験的な映像表現にいつのまにか虜にされることもあり、時折見たくなってしまう現象が起きてしまう恐れもあります。
「イレイザーヘッド」も強烈な印象を受けました。
もしかしたらまたあの悪夢を見たくなってしまう映画なのかも…とは今はまだ思えないですが。
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